蒼穹の昴(1) (講談社文庫)

蒼穹の昴(1) (講談社文庫)

パブリッシャー
講談社
価格: ¥660

蒼穹の昴(1) (講談社文庫)のレビュー

人生5本の指に入るほど面白かった。
日本は近代史の教育をあまりしないので、この辺が「空白」になっているんですが、司馬遼太郎とかに始まって、そうはいっても、いろいろな本があります。けれども、同じ同時代の、中国や、韓国や、台湾やその他の地域から見たモノというものがあまり見たことがなく、できれば、エンターテイメントで全体が網羅できる(それが多少ファンタジー入っていても)物語を探していたのだが、これは圧巻。この時期は、つまり清朝末期は中国文学の世界でもあまり面白いというか、大衆に人気がある時代ではないらしく、なかなかいい物語がないそうなのですが、この物語は別格です。浅田さんの他の作品が好きでなくとも、これは特別に面白いので、ぜひトライを。どんな物語か?と言えば、日本でいう「幕末」と「明治維新」の物語です。中国にとっての、清朝という巨大王朝の末期に、近代化を成し遂げ、中国という国を良くしようとした人々の志の物語です。こういうのを待っていた!!!というものです。この後、『珍妃の井戸』『中原の虹』と続く壮大な中国近代史の物語です。特に、植民地になりそうで虐げられる中国に同情を寄せるジャーナリストのアメリカ人と日本人が、それぞれが南北戦争で敗北した南部の白人と戊辰戦争で賊軍となった会津藩士という設定も、凄く見事だった。これは、同時に康熙帝や乾隆帝の清朝の建国気の話も、同時並行的に描いているので、これを読むと中国の大ベストセラー作家金庸の『鹿鼎記』とか、同じ同時期の豊臣秀吉の朝鮮侵略とか李舜臣の話を描いた朝鮮のベストセラー『孤将』とかも面白いです。ファンタジー入りすぎですが、荒山徹の『柳生大戦争』で当時の朝鮮の王が、東アジアの中国(明朝)と北方の有望区民族の女真族(のちの清朝)と日本の豊臣秀吉と朝鮮の政治バランスを独白するシーンとかを読んでいると、ああ、、、この時代の関係はこうなっているのか!と眼から鱗が落ちます。お薦めです。
逆説的近世中国史
一連の新撰組小説など、浅田次郎の小説は面白いものが多い。
NHKの放送に先立読み始めたが、巻が進むに連れ無理な筋立てが目立ってしょうがない。
詳しくは書かないが、清朝最大にして最高の乾隆帝が、慈母で観音の生まれ代わり(!)の西太后の懇願にも拘らず、
亡国を指図し、そのように進めていくことには無理がある。我々が習った歴史と違い、こういう解釈があり得る、
とも思えない。
ただ直木賞候補作のことはある。
言葉遣いが気になる。
さすが、浅田さん、娯楽性に飛んでいて、やっぱり読み物はこれでなくっちゃなあという感じがいたしました。しんねりむっつり自己の体験をシコシコ書いている芥川賞系列の純文学とはえらい違いです。ただ、どうしても一つだけ気になる言葉遣いが。中国の大河小説というだけあって途中漢文がふんだんに登場し、地の文にもそのような言い回しが多く見られるのですが、その中の「すべからく」。これは「当然」「必ず」という意味の副詞で、文末は「べし」(あるいはそれと同内容の言葉)で結ばなくてはなりません。非常に誤用が多い語でもあります。浅田さんもごたぶんにもれず、「すべて」の意味で使っておいでのように受け取れます。登場するたびに気持ちが悪くてかないません。(合っている部分も少しありますが)。版を重ねるときに直してくださらないかなあ。
近代中国をここまで面白く書けるとは。
高校時代,世界史で中国近代史も少しだけやったけど,教科書に「李鴻章」とか「袁世凱」の名前がゴチック体太字になってるので,興味ないけど覚えた。
つまらなかったので,その後,忘れた。
そんな「李鴻章」や「袁世凱」を激動時代に生きる血の通った人物として
生き生きと描き出す浅田次郎さんの筆力はさすがでした。
「面白い」という意味では文句なく,4巻一気に読みました。
マジメに書いているとはいえ,浅田節は健在で,会話はテンポ良く,時折ひょうきんですらあります。
西太后の権力に対する執着ぶりを慈悲と解釈するのは,
ちょっと無理があったように思いますが,
全体が面白いので,評価を損ねるほどではありませんでした。
個人的には,主人公春児の妹「玲玲」がよかったです。
春児のように出世階段を登っていくわけではないので,
大人になっても,遠い世界の人物として描かれず,
常に身近な存在として現実感をもって登場します。
ひたむきでチャーミングな名脇役でした。
フィクションながら,ストーリーの最後,
彼女の昴をつかんで幸せになってほしいなあと思いました。

浅田作品の最高峰!
読み終えたときにこんなに衝撃を受けた作品は初めてでした。
続編の「珍妃の井戸」、「中原の虹」とともに、
浅田次郎作品の最高傑作と言える一作ではないでしょうか。

ご存知の方も多いと思いますが、著者のエッセイ「勇気凛々ルリの色」にも、
この本の編集者さんが登場しています(名前は伏せられていますが・・・)。
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